涼しくなって、ほっとした頃に出てくる疲れ

初秋の疲れ みうら堂だより

厳しい暑さが少しやわらぎ、朝晩の空気に秋の気配を感じるようになってきました。

「やっと少し涼しくなってきた」と、ほっとする一方で、この時期になると、

「なんとなくだるい」
「朝、すっきり起きられない」
「頭痛や肩こりが気になる」
「胃腸の調子がいまひとつ」
「よく眠れない」

など、体調の変化を感じる方も少なくありません。

暑さのピークを越えたのに、どうして今になって調子が悪くなるのでしょう。

実は、涼しくなってほっとした頃だからこそ、疲れを感じることもあります。

ほっとしたときに、疲れが顔を出す

真夏の間は、「この暑さを乗り切らなくては」と、知らず知らずのうちに頑張って過ごしています。

暑さの中では、からだも気持ちもどこか緊張したままになりがちです。

そんなときは、疲れていても意外とその疲れに気づかなかったり、いつもの不調をあまり感じなかったりすることもあります。

そして少し涼しくなり、ほっとしたとき。

それまで張っていた気がゆるんで、

「急に疲れが出てきた」
「なんとなく調子が上がらない」
「前からあった症状が気になり始めた」

ということがあります。

疲れや不調が急に生まれたというより、それまで気づかなかったからだの声を、ようやく感じられるようになったとも考えられます。

夏の間、からだはずっと暑さに対応しています

暑いとき、私たちのからだは体温が上がりすぎないように、汗をかいたり、皮膚の血流を増やしたりしながら、熱を外へ逃がしています。

こうした体温調節には、自律神経も深く関わっています。

さらに夏は、暑い屋外と冷房の効いた室内を行き来することも多くなります。

外では厳しい暑さ、電車やお店に入ればひんやり。

そのたびに、からだは周りの環境に合わせながら、体温を一定に保とうと調節しています。

睡眠不足や食欲の低下、冷たい飲み物や食べ物が続くことなども重なれば、少しずつ疲れがたまっていきます。

「普通に夏を過ごしていただけ」と思っていても、からだは見えないところで、ずっと暑さに対応していたのです。

9月は「暑さ」だけでなく「変化」の大きい時期

9月になっても、昼間はまだ真夏のように暑い日があります。

一方で、朝晩は急に涼しくなったり、雨が降ると気温が下がったり、台風が近づいて気圧が大きく変化したり。

昨日と今日、朝と昼でも、環境が大きく変わります。

気温が変われば、からだは汗の量や血流などを調節します。

湿度が変われば、汗の蒸発のしやすさも変わり、体温調節にも影響します。

また、気圧が大きく変化すると、その変化を内耳などが感じ取ります。
それによって、自律神経や血流にも影響が及ぶことがあります。
からだは、そうした変化の中でも内側の状態を保とうと常に調整を続けています。

つまりこの時期は、夏の疲れが残っているところへ、さらに変化する環境に合わせる仕事が加わります。

暑いことそのものだけではなく、暑かったり涼しかったり、天候が大きく変わったりすることも、からだにとっては負担になることがあるのです。

人も、自然の一部です

東洋医学では、人も自然の一部と考えます。

晴れたり、雨が降ったり、急に気温が下がったり、台風が近づいたり、
外の環境が大きく変化するとき、私たちのからだもその影響を受けています。

私は患者さんに、

「人間は自然の一部なので、天候が荒れるときは、からだの中も荒れやすいんですよ」

とお話しすることがあります。

頭痛が出たり、からだが重くなったり、眠りが浅くなったり、いつもの不調が強くなったり、
同じ天候でも、胃腸に出る人もいれば、首や肩に出る人、眠りに出る人もいます。

東洋医学では、そうした一つひとつの症状だけではなく、季節やその日の気候も含めて、今のからだがどんな状態にあるのかをみていきます。

みうら堂の治療でも、つらいところだけをみるのではなく、脈やお腹、からだに触れながら、その日のからだの状態をみていきます。
季節や天候が変われば、同じ方でもからだの反応は少しずつ変わります。
そのときの状態に合わせて整えていくことも、鍼灸の大切な役割のひとつです。

外の環境が揺れるときは、からだの中も揺れやすい。

そう考えると、季節の変わり目に「なんとなく調子が悪い」と感じることも、少し違って見えてくるかもしれません。

この時期は、少し余白をつくる

少し涼しくなると、暑い間できなかったことを始めたくなったり、外出や予定を増やしたくなったりします。

でも、からだはまだ夏の疲れを抱えながら、次の季節へ移っている途中かもしれません。

そんなときは、少しペースを落として過ごすことも大切です。

睡眠時間を少し長めにとる、冷たい飲み物や食べ物を、少しずつ温かいものや常温のものに変えていく、冷房や寝具、服装も、その日の気温に合わせて調節する。

そして、疲れている日は予定をひとつ減らしてみる。

季節が大きく動くときほど、からだにも少し余白をつくってあげましょう。

季節が変わるとき、からだも変わっています

「涼しくなったのに、どうして調子が悪いんだろう」

そんなときは、「体力が落ちた」「また悪くなった」と考える前に、季節の変わり目にいる今のからだに目を向けてみてください。

暑い夏を過ごしてきたからだが、ほっとして疲れを感じているのかもしれない。

あるいは、変わっていく季節に合わせようとしている途中なのかもしれません。

なんとなくだるい。
よく眠れない。
胃腸が重い。
首や肩がこわばる。

そんな小さな変化も、今のからだの状態を知らせてくれているもの。

季節が少しずつ秋へ向かうように、からだも急に切り替わるわけではありません。

暑い夏を過ごしてきたからだをいたわりながら、ゆっくり次の季節へ。


🌿 ゆるみからのひとこと

からだも、ゆっくり秋じたく。